君を愛す ただ君を……
「先生こそ。何か欲しいモノはありますか?」

「アキちゃん」

先生が、じっと私の目を見てきた

え?

先生、何を言っているの?

先生が立ち上がって、私の腕を掴むと唇を重ねてきた

ちゅ…と、唇が鳴ると先生が私の下唇を軽く噛んでくる

「先生、酔ってるでしょ?」

「少しね。でもアキちゃんが欲しいのは、お酒のせいじゃないよ」

「お酒のせいにしてよ」

「ううん。僕はアキちゃんが好きだよ。好きなら、ガバッて押し倒すんでしょ?」

「…え?」

あたしは先生の胸の中で、顔をあげた

「先生…それは…」

「アキちゃん、僕は妻と別れたんだ。もう昔のような関係に妻と戻ろうとは思ってないよ。妻とはもう…とっくに終わってた」

先生がにっこりと笑うと、私にキスをする

甘く温かいキスに、私の身体から力が抜けていく

「今度は、アキちゃんと一緒に人生を歩みたいよ」

「先生って、一人で生きていけない人でしょ? さびしがり屋なのに、不器用で…」

「アキちゃんだって…僕を好きなのに、必死に隠してる」

私と先生は、見つめ合うとクスクスと肩を揺らして笑い合った

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