君を愛す ただ君を……
「香水って、大人って感じですよね?」

あたしは微笑むと、返却カートに手を突っ込んだ

「そうですか? 俺…香水とかって好きじゃないから。鼻がもげる」

「もげ……ぷっ」

あたしはクスクスと笑った

「手伝います」

レジを離れた桐沼さんも返却カートから青い袋を出して、DVDやCDを出していった

「あたし、見合いだったんですよ。母親に無理やり…あの人と結婚すれば絶対に幸せになるからって言われて…でも、全然幸せになった気がしないんですよね。家にいても一人だし、やることないし。それでバイトを始めてみたんです。大学も行きそびれちゃったし…サークルとかやってみたかったなあって」

「今夜、飲み会があるけど……来てみますか?」

「え?」

「サークルの飲みです。永田さんが良ければ…ですけど」

「いいんですか?」

「いいですよ。どうせ男ばっかですけど」

家に帰っても一人だし、旦那はみーちゃんとベッドの中にいるだろうし……

あたしは、すぐに頷いた

「じゃあ、5時に駅の改札で待ち合わせでいいですか?」

「本当にいいんですか?」

「いいですよ」

大学のサークルの飲み会に…あたし、行けるんだ

できなかった夢が一つ叶った気がする

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