君を愛す ただ君を……

２０人から３０人くらいの男女が、畳の部屋で、大騒ぎしている

圧倒的に男子が多い中、４人の女子が食べ終わった皿やビール瓶、グラスなどをせわしなく片付けていた

「ライ…どこで知り合ったんだよ！」

「バイト」

「いつから？」

「最近」

「どこまで行ったんだよ」

「そこら辺」

桐沼さんがヅカヅカと一番奥に行く道中に次々と質問を投げかけられる

そのどの質問にも答えるとが…きちんとした正解を答えたの最初の質問だけだった

「澄ました顔で、やるなぁ…おいっ」
「バスケ命って感じなのに」
「バスケが俺の彼女だって言わんばかりの練習量で、ちゃっかり彼女持ちって…さあ」

桐沼さんが上座にあるテーブルに座ると、隣にいる男性がパッと立ち上がって、座布団をずずっと桐沼さんのほうに近づけた

「どうぞ」

あたしの顔をちらっと男性が見てから、その場を離れていく

「あ…えっと…」

気を使わないでください、と言おうとしたのに、男性が遠くに行ってしまったため

あたしは、桐沼さんの横顔を見つめた

「座って。腹、減ってるでしょ？」

「あ…はぁ」

桐沼さんの横にちょこんと座なり、下座にいた男子たちが数人立ち上がった

小皿を掴みサラダやつまみ系の食事を入れる人と、瓶ビールを掴む人にわかれる

瓶ビールを持った人が、桐沼さんの前に正座にすると、グラスに注いだ

「彼女さんも…」

そう言って、瓶ビールを差し出してきた

「あ…えっとぉ」

あたしはまた桐沼さんの顔を見た

「あたし…お酒を飲んだことないんですけど」

小声で、桐沼さんに呟いた