君を愛す ただ君を……
「あ、あの…僕らがやるんで…」

空いた皿を取ったあたしに、一人の男の子が皿を奪った

「え? あっ…」

「僕らがあとで怒られるんで。すんません」

ペコっと申し訳なさそうに呟くと、あたしから離れて行った

怒られる? なんで?

あたしはとぼとぼと、もといた場所に戻ると座布団の上に座った

やることなくなっちゃったなぁ

桐沼さんは、少し離れた場所で、友人たちとビールを飲んで、楽しそうに会話をしている

あたしは近くにあったジュースに手を伸ばした

あ…これ、美味しいなあ

「ねっ!」

「うわっ」

突然、眼前に飛び込んできた男の人にあたしは驚いた

桐沼さんと駅であった男の人だった

「あ、俺、佐山って言うんだけど、凛ちゃんは何歳?」

「20歳です」

「あ…じゃあ、ライと1歳違いなんだ。どこの大学?」

「大学には行ってないです」

「フリーター?」

「まあ、そんな感じです」

あたしは苦笑した

主婦です…とは言えないしね

「ふぅん。ねえ、どっちから告白を……」

佐山さんがそこまで言いかけたところで、桐沼さんにわき腹を蹴られて、畳に倒れて行った

「お前、飲みが足んねえの?」

桐沼、近くにあったグラスを手に取ると、瓶ビールを注いだ

「ほれ、飲めって」

桐沼さんがグラスを佐山さんの口元に持っていった


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