君を愛す ただ君を……
「ちょっと…話かけただけじゃん。ライ、何も言わねえから。気になるじゃん」

「質問にちゃんと答えただろ」

「めちゃくちゃ適当に、な」

佐山さんの返答に、桐沼さんがにやっと口元を緩めた

「お前らに話すのが、勿体ないんだよ」

「うわぁ、やな感じぃ」

佐山さんが、イーッと白い歯を見せた

「凛、何を飲んでるの?」

え? あたしは手に持っているグラスを見つめた

「ジュース」

「違うと思うけど」

桐沼さんが、グラスを指でさしている

「美味しいよ?」

「カシスオレンジじゃないの?」

「何それ?」

「カクテル」

あたしは目を大きく開くと、グラスの中にある液体を凝視した

「は…初めて飲んだ」

「おめでとう、初体験!」

桐沼さんがにこっと笑った

は…は、初体験って…

あたしは、桐沼さんの言葉に顔を真っ赤にした

「凛、飲みすぎると足にくるから気をつけろよ」

「さらに飲みすぎると、記憶を失うよ。気がついたら、ライとベッドの中ってな」

佐山さんがケラケラと笑い始めると、桐沼さんが肘でわき腹を突いた

「ぬわっ、いってぇ。スタメン候補に何を…」

佐山さんが、わき腹をさすった

「ライバルは一人でも蹴落とさないとな。ま、俺のスタメンは決まってるけど」

桐沼さんが白い歯を見せて笑うと、佐山さんの肩を組んでポンポンと叩いた


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