君を愛す ただ君を……
「ちょっと、私の話を聞いてる?」

「え? あ、はい」

あたしははっと顔をあげると、佐久間さんを見た

「いつからなの?」

「いつから…て言われても」

付き合ってないし…でも、桐沼さんが付き合ってないってきちんと説明してなから

なんて言ったらいいのか

「あたし、大学に行ってないんです。それで…バイト先で……」

「凛、7時半になる。帰ろう」

電話が終わって戻ってきた桐沼さんが腕時計を見て、あたしに声をかけてきた

「まだ7時半じゃない」

佐久間さんが、まだ早くない?と言わんばかりに口を開いた

「もう少しくらいいいでしょ?」

佐久間さんがあたしの腕を掴んだ

彼女の爪が、あたしの腕に食い込んですごく痛かった

帰らないで、まだ聞きたいことがあるのよ…と言わんばかりの表情をしていた

「凛の家の事情がある」

桐沼さんが、佐久間さんを立ったまま見下ろした

『離してやれ』と目で訴えた

「彼女はもう20歳なのよ?」

「家族の人に迷惑をかけたくない」

「それって……本気なの?」

佐久間さんの眉がヒクッと上下に動いて、桐沼さんをまっすぐに見つめた

「ああ」

桐沼さんが即答すると、佐久間さんがさっきまで桐沼さんが使っていたグラスを掴んでビールを飲み干した

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