君を愛す ただ君を……
「ライっ! お見舞いに来たよ」

俺の恋人・佐久間 綾芽が病室のドアを開けた

俺は、綾芽の明るい顔を見ると、ふっと笑った

同じ大学だけど、綾芽とは別の学科だった

知り合ったのは、大学のバスケだ

綾芽がマネジャーで、俺がバスケ部員

入学して初めて夏休みを迎える前には、身体の関係になってた

部活の飲みで酔った俺たちに、欲望を止める大人はいない

綾芽に誘わるまま、俺は身体を重ねた

別にとくに好きな女もいなかったし、付き合ってる人いなかったから

付き合うことにした

「あ、この雑誌、私も買ったよ。夏の大会のライが写っててめっちゃ格好良いんだぁ」

綾芽が嬉しそうに頬を赤らめると、雑誌を手にとってページを開いた

俺の写っている箇所を開くと、目尻をさげて緩んだ顔をした

目の前に俺がいるのに…雑誌を見てどうすんだよ

俺が骨折を隠して続けた試合の写真が見えた

左手で決めるダンクシュート

本当は右利きなんだ

だけど骨折している足をかばって、踏み切る足を反対にして左手でダンクをした

いくら練習中に骨折をしたからって、公にして試合を放棄するわけにいかない

結局、骨折している足が悪化して入院になったけど

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