君を愛す ただ君を……
「くそっ!」

俺は自分の部屋に戻るなり、苛々を吐きだした

部屋の鍵を投げつけ、肩にかけている鞄を放り投げた

それでも腹の虫はおさまらず、ティッシュの箱を投げ、枕を投げ、部屋中のモノを投げた

凛と会える楽しい日のはずだったのに

凛と気持ちを確かめ会えたと日になったと思ったのに

なんでここに凛の旦那がいるんだ

しかも浮気相手ではなく、凛を追いかけてエレベータを降りて行った

なんで?

どうして?

ずっと浮気して凛を裏切っていたのに……最後は妻である凛を選ぶのか?

じゃあ、凛は?

凛もやっぱり、最後は夫を選ぶのか?

俺は…凛に捨てられるのか?

ちょっと…待てよ

わかってたことだろ

凛には夫がいることも…凛が母親に逆らえなくて、離婚できないことも

俺は知っているはずだ

知っていて、凛と付き合うって決めたんだろ

今更、俺は何を焦ってるんだ

何をびびってるんだよ

俺は髪を掻きあげると、荒れた部屋を見つめながらベッドに座った

凛の笑顔を守りたい

凛を幸せにしたい…それだけなはずだ

いつのまにか、俺は、凛をこの手に入れたいと思ってた

俺のモノにできると、勘違いしてた

「馬鹿だな…俺」

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