君を愛す ただ君を……
痛いのを思い出すと、どんどんと痛くなるもので…俺は湿布をはってホテル内を歩いた
大浴場にでも行こうかと頭を捻っていると、背後から肩を叩かれた
「ねえ、桐沼君!」
「は?」
俺は振り返ると、小原さんが浴衣姿で立っていた
「小原さん…ですよね?」
彼氏に置いて行かれたんですね…と言いそうになる口を止めると、小原さんから視線を逸らした
「さっき同じエレベータに乗ってたわよね?」
「はあ…多分」
俺は曖昧な言い方をした
「奇遇だね。こんなところでも会うなんて。もしかして運命?」
「…偶然でしょ」
明るく振る舞おうとする小原さんに俺は、冷たく言葉を返した
「ねえ、上のラウンジで一杯付き合わない? 奢るから」
「彼氏は?」
「帰ったわよ。奥さんに浮気がばれて、今頃、言い訳に必死なんじゃないの?」
「そう。彼氏、結婚してるんだ」
知ってるけど
凛の旦那だし…じゃあ、凛は旦那を二人きりで帰ったんだ
「勝手にね。本当に好きなのは君だけだ…って言っておきながら、奥さんにバレるなり、私の存在なんてすっかり忘れて帰ったわよ。メールすらこないんだから」
俺もそういう運命をたどるのかな?
小原さんみたいに…
「一杯だけですよ。俺、明日も試合があるんで」
「試合?」
「バスケの試合があるんです」
「ああ…だからジャージの子がうじゃうじゃしてたんだ」
小原さんが今、初めて理解したのか何度も頷いていた
大浴場にでも行こうかと頭を捻っていると、背後から肩を叩かれた
「ねえ、桐沼君!」
「は?」
俺は振り返ると、小原さんが浴衣姿で立っていた
「小原さん…ですよね?」
彼氏に置いて行かれたんですね…と言いそうになる口を止めると、小原さんから視線を逸らした
「さっき同じエレベータに乗ってたわよね?」
「はあ…多分」
俺は曖昧な言い方をした
「奇遇だね。こんなところでも会うなんて。もしかして運命?」
「…偶然でしょ」
明るく振る舞おうとする小原さんに俺は、冷たく言葉を返した
「ねえ、上のラウンジで一杯付き合わない? 奢るから」
「彼氏は?」
「帰ったわよ。奥さんに浮気がばれて、今頃、言い訳に必死なんじゃないの?」
「そう。彼氏、結婚してるんだ」
知ってるけど
凛の旦那だし…じゃあ、凛は旦那を二人きりで帰ったんだ
「勝手にね。本当に好きなのは君だけだ…って言っておきながら、奥さんにバレるなり、私の存在なんてすっかり忘れて帰ったわよ。メールすらこないんだから」
俺もそういう運命をたどるのかな?
小原さんみたいに…
「一杯だけですよ。俺、明日も試合があるんで」
「試合?」
「バスケの試合があるんです」
「ああ…だからジャージの子がうじゃうじゃしてたんだ」
小原さんが今、初めて理解したのか何度も頷いていた