君を愛す ただ君を……
俺は小原さんの部屋を出ると、「ふう」っと息を吐き出した

小原さんの気持ちを知るべきじゃなかったかも

二人を恨めなくなる

凛を苦しめているのは、凛の旦那とその浮気相手の二人だって思ってたのに

そうじゃないんだってわかってしまった

小原さんにも、彼女なりの気持ちがあるんだ

ただ浮気の関係を楽しんでいるわけじゃない

「キツイな…キツい」

凛がもし…大病院の娘じゃなかったら、こんなふうに悩んだりせずに付き合えたのに

そんなことを考えてしまう

現実は変わらないのに、そんな淡い妄想などしちゃいけないんだ

今、この状況をどうするべきか…が、問題なんだよ

凛はどうするんだ?

夫と生きていくのか?

それとも俺と生きていく人生を選んでくれるのか?

俺は凛が好きだ

凛と一緒がいい

どんなに凛を愛しているのか…教えてあげられる術があるなら、俺はすぐにえもさらけ出すのに

凛をどれだけ好きか

どれだけ想っているのか

教えてあげたいよ

凛、会いたい

凛を抱きしめたいよ

『好きだ』って囁きたいよ

「…て、足が痛い」

怪我した足を忘れて、小原さんを担いで歩いたのを思い出した
< 466 / 507 >

この作品をシェア

pagetop