君を愛す ただ君を……
翌日の新聞に、小原さんの名前が載っていた

俺は凛の実家で、新聞の記事を目にした

『小原 水絵さん(28)死亡』

その文字だけが、頭の中でぐるぐるしている

なんで…どうして…

そればかりが、俺の頭の中で駆け巡る

だけど答えなんて出ない

聞きたい本人がもういないのだから

地方記事のほんの小さな箇所に、申し訳なさそうに小原さんの死亡記事が書いてある

警察は自殺と見ているのか

俺も自殺って気がする

どうしてなんて、理由はきっと一生、俺にはわからないんだろうなあ

小原さんの本心なんて、誰にもわからないんだ

「はあ」と深いため息をついていると、襖が開いて凛の顔が見えた

「莱斗さん、永田さんの家に荷物を取りに行こうと思ってるだけど…」

凛が申し訳なさそうに口を開いた

「あ…俺も行くよ」

「足、平気?」

「凛のお兄さんが名医だからね」

俺は微笑むと新聞を畳んで、畳の上に置いた

凛は、永田圭輔と離婚した

午前中に、市役所にアキさんという女性と一緒に出かけていってた

俺は捻挫が悪化して、凛の実家に世話になってる

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