君を愛す ただ君を……
面白くて楽しい家族だ

俺は立ち上がると、松葉づえを使って凛のもとへ近づく

凛は車の鍵をちらっと俺に見せると、指先でくるくると鍵を回した

「え? 誰が運転するの?」

「あたしだけど」

「ええ? 運転できるの?」

凛はコクンと頷いた

「莱斗さんは?」

「免許、持ってないよ」

教習所に通ってる時間なんてなかったし、それで金をかけるんだったら、筋トレのグッズを買ったほうがいいって思ってたからな

「んー、なんか嬉しいかも」

凛が優越感に浸るような顔をする

「え?」

「莱斗さんって何でもできちゃうって感じがあるから、莱斗さんができなくて、あたしができるのがあるってちょっと嬉しい」

凛がにこっと笑う

俺は後ろから凛を抱きしめた

「なんだよ…俺だって、やろうと思えば、できるさ」

「そうだけど、いいの!」

凛が頬を膨らませた

「凛ができて、俺にできないことってあるじゃん」

「何かあった?」

凛が首を傾げた

「料理! 俺、やったことないし」

「良かった。これで料理ができたら、あたしができること…全部、莱斗さんに持って行かれちゃうところだった」

「大学が始まったらさ。弁当作ってよ」

「いいの?」

「いいよ。作って」

「わかった」

俺は凛の頬にキスをした

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