君を愛す ただ君を……
「あー、あっと…何でしょう?」

俺は電話の向こうから聞こえてくる女性の声に、恐る恐る質問をした

本当は聞きたくないけど…

どんな用で電話してきたかなんて、耳に入れたくないけど、聞かないと怒られるのは俺だし

嫌な電話に出ちゃったなあと思いながら、俺は相手の答えを待った

「今すぐ私の家に来なさい。すぐに! はい…タイム計るわよっ。10分以内に来ないと首を絞めるから」

「はあ? ちょ…俺、これから大学が…」

「私と大学…どっちが大事なの?」

「…はあ。これだもんなあ。わかったよ、行くよ。行けばいいんだろ」

俺は携帯の電話を切ると、ため息をついた

携帯をテーブルに置いて、立ち上がろうとすると、目覚まし時計が俺の額にヒットした

ガツンとぶつかる音と一緒に「チン」と金属がぶつかる音もした

「いっ……てぇ」

俺は痛みが走る額に手をあてると、佐久間をじろっと見やった

「こんのぉ…女ったらし!」

佐久間の綺麗な足で俺の大事な個所を蹴られると、その場に蹲った

「おぉっ、俺…死ぬぅ」

床をバシバシと叩きながら、俺は涙になるが…佐久間は一向に俺を心配する気配も見せずに、さっさと着替えると俺の頭を鞄に殴ってから、アパートを出て行った

待てよ…俺を置いていくなよ

「…てか、俺に説明の余地を与えろってばよ」

冷や汗をかきながら、俺はやっとの思いで立ち上がると、服に着替えようと、ラックに手を伸ばした

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