君を愛す ただ君を……
「大空、遅い! 20分の遅刻よ」

俺が電話の主である一番上の姉貴の家についたのは、電話を切ってから30分後だった

「歩いたって、15分かからないところに住んでるのに」

「不慮の事故があったんだよ」

俺はまだ若干違和感のある股間に、歩き方がおかしくなる

「私の命令がきけないなんて有り得ない」

「…可愛い弟に命令すること自体が有り得ねえっつうの」

「何? 文句あるの?」

「ございませんよ、風香お姉様」

俺は靴を脱いで、風姉の家にあがった

「…で? 今日は何?」

ピンクのランジェリー姿で、風姉が腰をクネクネと動かしながら俺の腕に絡みついてきた

「今夜ねえ~、海外遠征しているダーリンが休暇でこっちに戻ってくるのよぉん」

風姉が甘い声で口を開いてくる

俺は風姉のマンションの部屋に目をやった

「掃除ね」

「そうなのぉ。頼むわね~。お小遣いは弾むからっ」

風姉が俺の頬を指先でツンと突いた

「弾んだことなんてねえじゃん…てか、貰ったことすらねえよ」

「なに?」

風姉の声がいきなり低くなると、俺のじろっと睨んだ

綺麗な顔をしているだけに、睨むと恐ろしさが倍増する

「なんでもございませんよ。掃除しますよ。わーい、俺、お掃除大好き!」

妙なテンションの高さで、俺は風姉の家の掃除を始めた

…てか、掃除くらいしろよ

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