君を愛す ただ君を……
風姉の彼氏は、サッカーの選手で、海外移籍している

たまに日本に帰って来ては、姉と過ごすらしい…が、そのたびに俺が姉の散らかした部屋を片付けるのだ

風姉は自由奔放な女だ

モテる女とはそういうもんなのか…俺にはわからないけど、本命の彼氏以外に、キープ君がいて…

風姉の本命は、海外に移籍している彼氏だ

もともと同級生らしいけど、それ以外にもIT企業の社長だったり、航空会社のパイロットだったり…彼氏というのかボーイフレンドというのか

それなりの関係な男たちが無数にいる

本命の彼氏はきっと知らないんだろうなあ

サッカーの業界で活躍して、風姉に会いたくて少し時間をやりくりして日本に帰ってくるのに…風姉はこんなんだし

ちょっと可哀想な気がする

俺は三時間かけて、姉貴の家の掃除を終えた

「ま、こんなもんだろ」

俺は流れ落ちる汗を、袖口で拭うと、ぴかぴかと輝く床に満足した頬笑みを浮かべた

「これだから大空が近くに居てくれると助かるのよねえ」

真っ赤なスーツに、派手なメイクをしている姉貴がにこにこと笑っている

「おかげで、引っ越ししても引っ越ししても姉貴たちが近くにいるような気がするよ」

俺は首をストレッチをする

「スーもチーも、大空に頼りすぎよねえ。少しは自分でやりなさいっていうのよ」

あんたもだろ!

一番、風姉が甘えてるっつうの…ていうか、俺を脅してるっつうの!

俺の姉貴たちは、俺を何だと思ってるんだよ

おかげで、午前中の授業は出られないじゃないか

佐久間には「女たらし」って叫ばれるし

姉貴たちの無遠慮な呼びだしのせいで…俺には彼女ができないんじゃねえの?

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