君を愛す ただ君を……
姉貴の家を後にした俺は、そのまま大学に向かった

「…っつう」

俺は膝に走る痛みに、思わず息をのむ

秋から冬にかけてだんだんと冷えてくる季節って、どうも膝の傷が痛み出すんだよなあ

俺の膝の皿は、少しだけ欠けている

交通事故で、怪我をして…膝を痛めてしまった

当時は、もう走ることもできないだろうって言われてたけど、リハビリと根性でバスケの復活を果たした

けど、前みたいに好き勝手にコートを走りまわったり、限界を超えてもなおコートで暴れまわる…なんてことはできない

ペース配分を考えて、膝に負担をかけないように、頭を使いつつ、身体を動かさないといけない

今まではあるがまま、何も考えずにボールを追いかけていた

だけど怪我をしてからは、頭脳プレーをするようになった

いや…頭脳を使わないと生き残れないと悟った

体力のあるヤツなんて大勢いる

ライみたいに、体力もあって、知能も得ているようなヤツだったいるんだ

ハンデをカバーするには、さらに違うモノを習得しないといけない

怪我をしてから、復帰するまでは辛かったな

ま、今じゃ…懐かしい想い出か

俺は食堂に行くとライの姿を探す

ライはデカイからすぐに見つかる

あとは女子が多く座っているところを探す…とかね

ライを探すのは簡単

だけどライが俺を探すのは、難しい

俺はライたちがいるテーブルに近づくと、佐久間の隣に腰を下ろした

「ぃよっ! おはようさん」

俺は明るい声で、椅子に座ると、佐久間にヒールで足を踏まれた

「いっ…」

「あ?」

ライが不思議そうに俺の顔を見た
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