君を愛す ただ君を……
「なあ、待てってば! 何、怒ってるんだよ」

「怒ってないし」

佐久間が目を吊り上げて答える

その顔は、めちゃくちゃ怒ってんじゃんかよ

なんだよ

俺にどうしろって言うんだよ

「会いに行くんじゃないの?」

「はあ? 誰に…」

「詩織さんって人」

「今日は会わねえよ」

「私が邪魔なら帰るって言ってんの」

「意味がわかんねえ」

「今夜は、佐久間と過ごすんだろ?」

「……『今夜は』…なんだ。じゃあ、明日は別の人とってこと?」

「はあ?」

俺は首の後ろを掻くとため息をついた

「なあ、佐久間。言いたいことがあるなら、言えよ。俺、この部屋にあげたのって佐久間しかいないからな。ライだって、俺の部屋に来たことがねえんだから」

「え?」

佐久間が驚いた顔をして、俺を見てきた

「言えよ」

「……佐山のこと、好き…たぶん」

た…たぶん、かよ

俺はがくっと肩を落とした

「なんで苛々してるの?」

「詩織さんと話す佐山が、すごく優しくて…見たことが無いから」

「はあ? 俺、佐久間にだって優しいだろ」

佐久間がすごく不満そうな顔をする
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