君を愛す ただ君を……
「新しい先生、格好良かったらどうしよっか。越智君、浮気されないようにしなくちゃだね」

あたしは越智君の顔を見た

越智君はずっとあたしの顔を見ていたようで、目が合ってから、ぱっと逸らされてしまった

え? どうして、逸らすの?

「浮気なんて、心配しないよ」

越智君があたしたちに背を向けて、ぶっきらぼうに答えた

「何よ、魅力がないからって…」

しぃちゃんが、頬を膨らませて不満そうな顔をした

「違うよ。しぃちゃんを信頼してるんだよ」

あたしがしぃちゃんの肩を抱いた

「え? ほんとに?」

しぃちゃんが嬉しそうな顔をすると、あたしから離れて前を歩く越智君の腕に飛びついた

「そうなの?」

「あ? 先生が生徒を恋愛対象で見ないだろ。浮気以前の問題だよ」

「…つまんないのぉ」

しぃちゃんの平手が、越智君の腰に入った

「あっ、そうだ! 今日、ちょっとお茶して帰らない?」

しぃちゃんが振り返って、あたしの顔を見てきた

「あたしはいいから。2人で楽しんでおいでよ」

「え-、だって陽菜がいたほうが楽しいもん」

しぃちゃんが、眉尻を下げて、あたしを見ている

まるで、捨て犬が餌を欲しがっているみたいな…そんな顔をしている

あたしぷっと吹き出した

「デートの邪魔したくないよ」

「デートじゃないし。お茶! お茶を飲むの」

< 5 / 507 >

この作品をシェア

pagetop