君を愛す ただ君を……
結局、あたしはしぃちゃんと越智君と3人でお茶をした

他愛ない話をして、3人で電車に乗った

あたしが一足先に、駅に降り立つ

あたしと越智君の最寄り駅は一緒

でも、越智君は必ずしぃちゃんを送ってから、自宅に帰るから

駅に降りるのはいつも1人だった

あたしは車内にいる2人に手を振ってから、ドアが閉まる前に歩き出した

腕時計で、時間を確認する

午後6時を過ぎた直後だった

ちょっと遅くなっちゃったな

きっとママが心配してる

心臓がこんなんだから、走れないけど…急いで家に帰らないと

あたしは人ごみにまぎれながら、階段を上った

早足の人たちの肩にどんどんとぶつかりながら、自分のペースで足をあげる

みんな、歩くのが早すぎる

いつもなら、人が退けてから階段をのぼるけど…今日はもう遅いから、少しでも早く帰りたい

突然、右側が人にぶつからなくなった

目の端には、見なれた学ランが映っている

あたしは横を見ると、隣の人を確認した

「え? 越智君?」

あたしはびっくりして、目を見開いた

なんで、ここに越智君が立っているのだろうか?

いつもなら、しぃちゃんを送っていくのに

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