君を愛す ただ君を……
「いつも録画して見てるテレビの予約を忘れてたって、さっき気がついてさ。しぃには悪いけど、降りちゃった」

越智君がにこっと笑う

「え?」

「もうすぐ、クリスマスだよな」

「あ…うん」

あたしは頷くと、自分のマフラーに顔を埋めた

そうだね

もうすぐでクリスマスだよ

あたしが、越智君を好きになって…そして失恋した日でもあるんだよ

「それでさ…お願いがあるんだけど」

「え?」

「しぃのプレゼント、一緒に選んでくれないかな? サプライズで、驚かせたいんだ。しぃの欲しいのを、俺が聞かないでも用意した…みたいな、ね」

越智君が、少し恥ずかしそうに頬を赤くしながら口を開いている

「しぃちゃん、おそろいの指輪がいいって言ってたよ」

「え? なんで知ってるの?」

「だって、言ってたから。でもお互い高校生で、バイトをしているわけじゃないから、頼みづらいなあって」

越智君、優しいね

しぃちゃんが本当に欲しがっているものを、プレゼントしてあげたいって思うなんて

やっぱりしぃちゃんが羨ましいなあ

「そっか。指輪かぁ」

越智君が、鼻頭を指先で掻いた

「…なんとかなるかなあ」

「そうなの?」

「あ、しぃには内緒にしてて欲しいけど…実はちょこちょことバイトをしてるんだ。クリスマスイブに、二人で過ごせたらいいなあって思っててさ」

越智君が苦笑した

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