君を愛す ただ君を……
帰り道の最中、あたしは越智君の横顔を見つめた

さっき質問したまま、答えを聞いていない事柄について、いつ質問し直そうか考えていた

タイミングがつかめない

会話の途中に、「あ、そういえば」って言えればいいのに、変に意識しているせいか

聞くタイミングをついつい脱してしまう

気がつくと、互いに無言になっていたり、聞くには中途半端な話の流れだったりして、すっかりあたしの家の近くまで来てしまっていた

あたしって、話下手なんだなあ

いろいろ考えちゃうと、余計聞くに聞けなくなっちゃう

聞きたいのに、答えを知りたいのに……聞くのが怖いと思っちゃう

また質問してもいいのかな?って考えちゃう

あたしの視線に気がついたのか、越智君が首を半回転してあたしの顔を見てきた

「どうしたの?」

「え? あ、えっと……そのぉ」

今だよね?

きっと聞くなら、今がチャンスだよね

「昼休みのこと…を」

「ああ。まだ答えてなかったね」

越智君が、にこっと笑う

視線を前に向けた越智君が、寂しそうな顔をした

「一度、しぃには別れようって言っただろ。人目のないところで、俺はきちんと話をした。だけど…涼宮を悪者にして、被害者ぶったことをした。俺との別れ話を知らないクラスの奴らを味方にして。それが許せなかった。だから今度は、皆の前で別れ話をした。そうすれば、皆が承認だろ? 俺が涼宮を好きで、別れるっていう事実を誰もが知ることになる」

越智君が、はっきりとした口調で、言い切った

「涼宮には、恥ずかしい想いをさせて悪かったと思うけど。しぃだけが、被害者になるのはちょっと許せなかったんだ」

「しぃちゃん、泣いてたよ?」

「だから? 俺は悪いことをしたとは思ってないよ」

越智君が、何とも言えない表情をして、あたしを見た

「あたし…、どうしたらいいかわからないの」
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