君を愛す ただ君を……
「越智君、あたし……」

「手術、受けるよね?」

「え?」

越智君の顔が上がったと思ったら、越智君の目が真っ赤に充血していた

「受けるよね?」

「あ…でも、あたし」

今度はあたしが越智君から目をそらした

白い布団をぎゅっと掴むと、唇を噛んだ

「涼宮、受けてよ」

「わからない。だって、お金の問題もあるし、治る確率が低いのに頑張っても……」

「親父なら絶対に成功するから」

「そんなに難しいの?」

「言えない」

越智君がぴっと口を閉じた

『言えない』ってどういうこと?

それって、難しいって言ってるようなものじゃない?

「お金は気にしなくていい。ただ涼宮の気持ちを知りたい。治るほうに賭けてみる気はない?」

越智君がぎゅうっとあたしに抱きついた

「どんな時も涼宮の傍にいるから。俺、涼宮を失いたくないんだ。涼宮、俺と一緒に頑張ってみようよ」

越智君の声が震えている

あたし、そんなに心臓の病気が進行してたんだ

…て、もともと15歳までしか生きれない身体だったから、今、生きていること自体奇跡なんだよね

手術が成功したら、あたしは命の終わりを気にしなくていいの?

体育の授業に参加できたり、授業に間に合わないよー…とか言いながら廊下を走ったりできるようになるの?

あたしは越智君の背中に手をまわした

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