君を愛す ただ君を……
「そうかな?越智君が見逃してるだけじゃないのかな」

あたしは越智君に背を向けると、家に向かって歩き出そうとする

が、越智君に手首を掴まれた

「待って。涼宮の好きなヤツって…」

「テレビ、いいの?予約してないんでしょ」

お願い

それ以上、聞かないで

思わず言ってしまいたくなっちゃうから

越智君が好きって言葉にしてしまいそうで怖いの

だから、もうこれ以上はやめて

「陽菜っ、こんな時間まで何をしてるんだ」

背後から低い声がした

越智君の視線が上を向く

あたしも後ろに振り返った

「大ちゃん?」

スーツを着て、黒縁の眼鏡をしている岡崎大樹が息をきらして立っていた
< 9 / 507 >

この作品をシェア

pagetop