君を愛す ただ君を……
あまり眠らずに、夜が明けた
眠い目を擦りながら、あたしは学校に向かう
今日は、大ちゃんが日直の登板で早朝に学校に行ってしまったため、一人で登校していた
駅に向かう道中で、あたしの横に黒塗りの高級車がぴたりと止まった
え? 誰?
ゆっくりと車の窓が開くと、冷たい瞳の女性があたしを睨んだ
「涼宮陽菜さん…ですよね?」
少し低めの声が、あたしの名を呼んだ
感情のない言葉と、冷たい視線なのに…なぜか、越智君の面影を感じた
「もしかして、越智君のお母様ですか?」
「あなたに『お母様』と呼ばれると、気持ちが悪いわ」
「す…すみません」
あたしはぺこりと頭を下げた
「主人からあなたのことは聞いてるわ。無駄話をする気はないの。これをあなたにあげるわ……意味、わかるわよね?」
越智君のお母さんが、高そうな旅行鞄を窓から出すと、ぼとんと地面に落とした
足元にある鞄に、あたしは視線を落とした
「これは……」
「入院費と手術代を出しても、まだ余るくらいのお金はあるわ」
「越智君と別れろと?」
「…別れるって言えるほど、付き合いが深いのかしら? 私が言いたいのは、愁一郎の前から姿を消しなさいってことよ。あなたはあの子のためにならないわ」
越智君のお母さんの声が、一段と低くなった
『ためにならない』って……まるであたしが害虫みたいな言い方…
「いまさら、部活なんて。愁一郎には、将来があるの。あなたとは違うのよ」
ずきっと胸が痛んだ
まるであたしには将来がない…みたいな言い方をしないでよ
眠い目を擦りながら、あたしは学校に向かう
今日は、大ちゃんが日直の登板で早朝に学校に行ってしまったため、一人で登校していた
駅に向かう道中で、あたしの横に黒塗りの高級車がぴたりと止まった
え? 誰?
ゆっくりと車の窓が開くと、冷たい瞳の女性があたしを睨んだ
「涼宮陽菜さん…ですよね?」
少し低めの声が、あたしの名を呼んだ
感情のない言葉と、冷たい視線なのに…なぜか、越智君の面影を感じた
「もしかして、越智君のお母様ですか?」
「あなたに『お母様』と呼ばれると、気持ちが悪いわ」
「す…すみません」
あたしはぺこりと頭を下げた
「主人からあなたのことは聞いてるわ。無駄話をする気はないの。これをあなたにあげるわ……意味、わかるわよね?」
越智君のお母さんが、高そうな旅行鞄を窓から出すと、ぼとんと地面に落とした
足元にある鞄に、あたしは視線を落とした
「これは……」
「入院費と手術代を出しても、まだ余るくらいのお金はあるわ」
「越智君と別れろと?」
「…別れるって言えるほど、付き合いが深いのかしら? 私が言いたいのは、愁一郎の前から姿を消しなさいってことよ。あなたはあの子のためにならないわ」
越智君のお母さんの声が、一段と低くなった
『ためにならない』って……まるであたしが害虫みたいな言い方…
「いまさら、部活なんて。愁一郎には、将来があるの。あなたとは違うのよ」
ずきっと胸が痛んだ
まるであたしには将来がない…みたいな言い方をしないでよ