ラブメイト

タクシーに乗って間もなくクミから電話が鳴り、慌てて電話を取る。

「もっもしもし」

「もしもしサユリ?仕事まだかかりそう?」

「いや、終わってたんだけど、マネージャーに捕まってた。今向かってる」

「そっかぁ、お疲れ様。こっちは待ってるから焦らず気をつけておいでよ」

「わかったぁ」

「じゃあ待ってるね」

そう言い、クミは電話を切った。
電話ごしに聞こえてきた賑やかな声。
かなり盛り上がってる様子だった。


会社から会場のホテルまで車で15分程しかかからないのに、その15分がやけに長く感じ、窓から外の景色を眺めながら静かに目を閉じた。


…………


…………


懐かしい校舎に懐かしい教室。
チャイムが聞こえる。

『・・ユリちゃん、サユリちゃん』

誰も居ない教室で、誰かが私を呼んでいる。
シルエットはうっすらと見えるのに、顔は全く見えない。


『サユリちゃん起きて』

こっ・・この声・・?
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