宝石のように
ほら、まただ。




勝手に口が動いてしまう。




「離婚したのは、俺がまだ小さい時だったからさ、その時のことよく覚えてない。でも...。」







でも...




覚えていることもある。







「あの女、俺達に向かって『私にはもうあなたたちはいらないの』って、そう言った。」




「その時、親父はすごく傷ついた顔してた。それだけは覚えている。」





そこまでいっきに話してから、さっきからこいつが全く喋っていない事に気付いた。




「おい。」




今まで下を向いていた目をあいつに向けた。




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