クレーン・ゲーム
目を開けると、僕を見下ろす三人の影が見えた。
一人は、30すぎくらいのおじさんで、それから、20代前半の若い男。高校生くらいの青年がいる。

「う…」
「たまたま通りかかったら、倒れていたんだ」
おじさんが僕にそう話す。僕は、クレーンが空からつるされていて、ビルや家を空の向こうへ、と言った。
「混乱しているな。落ち着け。おまえ、名前は?」
僕は僕ではなくて、高波牡丹だ、と答えた。
「牡丹か。ムニエルより全然いいじゃん」

「よほどショックなことがあったんだな。あせらなくていい。あんたの部屋はどこだ?」
僕は、自分の部屋を指さした。


「よし、運んでやる」

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