DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

（―１―）




「どういうことです？」

複雑な心境でアレックスを送り出した翌日……ルシフェルとの任務当日。

ボルグは出発前にコーエンに第三研究所に呼び出された。

「今回ルシフェルには一般兵士を同行させる。この計画もルシフェルの出来でほぼ完成といえる。そろそろ公式に発表してもよい頃合だ」

個体としてのアイアン･メイデンの能力はすでに疑う余地もないが、公式発表を控え、一般兵との共同任務での成果を確認しておきたい……

そんな趣旨を長々とコーエンはボルグに説明する。

「そんなわけで、君にはあくまでデータ採取に専念してもらいたい。君が隊に混ざってしまっては、ルシフェルの手を借りるまでもなく君が任務を遂行してしまいそうだからね」

やや皮肉げにそう言って、コーエンは渇いた笑い声をあげた。

「いたってシンプルな任務だ。敵兵に占領された小さな村を奪還するだけ、ルシフェル一人でも荷が軽すぎるだろうがね、一般兵の反応も見てみたいものでね」

そう言いながら卓上のパネルに地図を映し出し、ディラハンとの国境南端近くの小さな村を指差す。