DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



「出来ることを、するだけさ……」

ミラーに映る自分自身の目に揺らぐ不安の色を見て。

苦笑しながら、そんな自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

「立派な大人の男だろ……俺は」

もう、後には引けない。

ハンドルを握る拳に力をこめる。

「でなきゃ、あいつにも示す背がないってもんだろ?」

守られるべき子供だったはずなのに、守るものも無く、意味も知らず戦い。

そして今、見えない行き先へと足を踏み出し……

これからさらに過酷な現実にさらされるであろうアレックスに。





せめて、何か一つでも残せれば





自分が決めた答えが招くであろう結末が見えている今となっては、ボルグにとってただそれだけが、ささやかな願いだった。




< 173 / 729 >

この作品をシェア

pagetop