DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「出来ることを、するだけさ……」
ミラーに映る自分自身の目に揺らぐ不安の色を見て。
苦笑しながら、そんな自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「立派な大人の男だろ……俺は」
もう、後には引けない。
ハンドルを握る拳に力をこめる。
「でなきゃ、あいつにも示す背がないってもんだろ?」
守られるべき子供だったはずなのに、守るものも無く、意味も知らず戦い。
そして今、見えない行き先へと足を踏み出し……
これからさらに過酷な現実にさらされるであろうアレックスに。
せめて、何か一つでも残せれば
自分が決めた答えが招くであろう結末が見えている今となっては、ボルグにとってただそれだけが、ささやかな願いだった。