DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「いいかい……お前達はこの国にとって何にも代え難い宝なのだよ。

お前達がいらぬ偏見や、敵意にさらされる危険は許されない…………守りたいのだよ。

お前達は私達の天使なのだから」

微動だにせず耳を傾けるラファエルは

「わかるだろう?」

コーエンが発した問いに深く頷き、静かに頭を垂れた。

「すみません……僭越なことを……」

そんなラファエルの様子に、コーエンも再び頷き返す。

「いいのだよ……確かに事が公になって反意を抱くものを増やすのは得策ではない。

彼の過去の名誉を守って丁重に葬られるようにせねば」

ラファエルの肩から手を下ろし、考え込むようにあごを撫で

「あの時のように……戦死ということにすればいい」

ニヤリと、彼が持つ狡猾さそのものを滲ませたような笑みを浮かべた。


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