DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―1―)






「……え……?」


目の前の青年はそう小さくつぶやいたきり言葉を失った。

あまり感情をみせることのなかった青年。

だが、普段の彼の表情を良く知っているだけに……その顔に浮かぶ僅かな動揺の色が、その内の大きな揺らぎを伺わせる。

それが痛々しくて。

クロードは思わず彼の顔から目を逸らした。

「まずは花を手向けてやってくれ……詳しいことは後で話す」

落とした視線はそのままに。

それだけ言うのがやっとだった。

こんなことは珍しいことではないが、何度体験しても慣れることはないのだ。

いつだってどうすれば傷つけずに伝えれるだろうかと悩みながら、だが、そんなことは所詮無理なのだということも充分にわかっている。

静かに部屋を出て行くアレックスがドアを閉める音を聞き。

その足音が遠ざかっていくのを確認した後。

「……っ!!」

声にならないうめきと共に、クロードは拳を机に叩きつけた。


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