DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
――焼け落ちた廃墟の前に佇む一つの人影
「どうして……」
フードを深くかぶった人影は搾り出すようにかすれた声でつぶやいた。
普通ではない火力で焼かれ、崩れた建物の前に広がる荒地に生える雑草は、何かに押しつぶされてひしゃげ……
本来の色をなくして、赤黒く染められている。
「どうしてこんなことを……」
また、沢山の命が消えた。
それを思い、胸が押しつぶされそうになる。
目の前にある、先ほど自分が地に埋めた十字の杭に花輪をかける。
せめて、ここで散った魂が慰められるよう……そう、祈った。
そして、思う。
このままではいけない……
このままでは何も変わらない。
「……っ」
小さく唇を噛み、拳を握り締める。
自分なりに考えつづけた末に……たどりついた自分なりの答。
その決意を新たに、人影は顔を上げた。
黒く……元の姿をとどめることもない瓦礫と化した廃墟へ向けられた青い瞳。
絶望に近い光景を映しながらも、その瞳の奥には強い光が揺らめいていた……