DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

（―１―）





ウィルダネス中央に位置するエルカイザは、北から東を険しい岩壁に、隣国ディラハンとの国境である西はややゆるやかな山岳地帯、そして南を深い森に囲まれている。

北の岩壁は険しくはあるが、その向こう側へは幾つものトンネル状の洞窟が存在し、その先に広がる平地へと続く。

岩壁より北の平地地帯にはかつては幾つかの小国が存在していたが、エルカイザとディラハン、二つの強国の侵略により多くは失われ各々吸収されつつある。

嘆きの七日間よりおよそ八百年。

今や、ウィルダネス大陸は二つの大きな勢力により分断され、占められているといっても過言ではない。





が、しかし――




その二つの大国のいずれもが手を出せず、その侵略に犯されていない場所がある。

ウィルダネスの南。

大陸のおよそ五分の一を占める、深く、広大な森。