DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


モニターを眺めるウリエルの表情が次第に険しくなっていく。

「くそっ……それにしても誰が……」

何かに横から殴打されたかのようにひしゃげた戦車の車体。

ぐにゃりと潰され折れ曲がった、その砲身。

どんな武器で攻撃したらこんなことになるのだろう?

砲弾や銃火器で攻撃された跡でないのは察しがつく。

だが、あれだけの兵が集まっていた陣地で、これだけの武器が揃っていた。

夜襲で油断があったとはいえ、一体どんな部隊が、あんな僅かな時間でこんな状態になるまで攻撃できたのか?

そもそも、大国ディラハンに攻撃しようなどという国は同等の力を持つエルカイザ以外に思いつかない。

他国ではない?

では内乱?

いや……どちらにしてもおかしい。

これだけの攻撃をするためにはそれなりの兵力と装備がいるはずで、だが、異変寸前までそんな勢力の気配は感じなかった。



(まさか……)



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