DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
緊張を伴う静寂が二人の間の空気を満たす。
が、それも僅かな間。
「ウリエル様!! 何事ですか……!?」
ウリエルが豪快に壁を破壊した音を聞きつけ、城壁の通路へ通じる階段を駆け上がってきた見張りの兵の声がそれを破る。
「来るな!!」
自分の後方、数メートル離れたところにある階段の上り口に姿を現した兵士を振り返りウリエルは声を張り上げた。
「おまえらは下に隠れてな。お前らが相手できる奴じゃないよ」
鋭い視線で兵士を威嚇するように睨みつける。
殺気に近いその眼光に兵士はビクリとして足を止めた。
「しかし……」
侵入者らしき人物を目に留めた兵士は怯えながらも、困惑気味に声を絞り出す。
おろおろするその姿に苛立ち、ウリエルは手にした鎌を兵士へ向け構え怒鳴りつけた。
「いいから下がれって言ってるだろっ」