DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
(―1―)
「ずいぶんと楽しそうだな」
隣からかけられた常に低く落ち着いた声に、窓の外をきょろきょろと見ていた目を声の主に向ける。
「だって、父上。街へ行くの久しぶりですし、クロードに逢うのも久しぶりだし」
そう答えると、自分と同じオレンジ色をした髪をゆるく肩に垂らした、声と同じく常に平静を保つ顔に苦笑が浮かぶ。
「仲が良いのは良いことだが……相手はこの国の第二皇子だ。お前ももう十二の歳を数える。何時までも子供気分ではいけない、ちゃんと様をつけてお呼びしなさい」
「あ……すみません」
穏やかにたしなめられて、ハッとして頭を垂れると
「もうそろそろ……ということだ。わかればいい」
軽く頭をポンと叩かれ、その感触に胸をなでおろす。
ゆっくりと走る車の窓から見えるのどかな田園風景。
首都アルマにある王宮へはあと二つほど小さな町を通りぬけねばならない。
「ずいぶんと楽しそうだな」
隣からかけられた常に低く落ち着いた声に、窓の外をきょろきょろと見ていた目を声の主に向ける。
「だって、父上。街へ行くの久しぶりですし、クロードに逢うのも久しぶりだし」
そう答えると、自分と同じオレンジ色をした髪をゆるく肩に垂らした、声と同じく常に平静を保つ顔に苦笑が浮かぶ。
「仲が良いのは良いことだが……相手はこの国の第二皇子だ。お前ももう十二の歳を数える。何時までも子供気分ではいけない、ちゃんと様をつけてお呼びしなさい」
「あ……すみません」
穏やかにたしなめられて、ハッとして頭を垂れると
「もうそろそろ……ということだ。わかればいい」
軽く頭をポンと叩かれ、その感触に胸をなでおろす。
ゆっくりと走る車の窓から見えるのどかな田園風景。
首都アルマにある王宮へはあと二つほど小さな町を通りぬけねばならない。