DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


促されるように腕の中にいる存在へと視線を落とし、ファーレンは

(憐れ……か)

今は静かな表情で瞳を閉じた少女をじっと見つめた。



そう、憐れでならない。

だから……救いたいと願う。



「すまない」

しばらくそうしてウリエルを見つめた後、ファーレンは小さくそう言い、顔を上げた。

「本心だったんだな、彼女が言った事は……なのに先に攻撃を仕掛けたのはこちらの方。この子の傷のことは仕方ない事……望まぬ剣を振るわせてしまって彼女には悪いことをした」

得体の知れぬ魔物と名乗る者。

けれど、彼の、シルバの語る言葉はその得体の知れなさを補ってファーレンを納得させるに十分だった。



同じ気持ちを、知っている。

同じ願いを、持っている。



「だけど、この子もまた犠牲者だ。恨まないでやってくれないか? 俺だって、望まない……間違ってると思う。争うこともいいとは思わない。こんな世界は、間違ってる」

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