DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「見つけた」
まだ見えぬ、曲がり角の先。
方角は左。
赤く変光した瞳のセンサーでうごめく人だかりの熱を捉え、ミカエルはひとり呟くと、その場所へと向かい駆け出した。
正直、今回の任務はあまり乗り気ではない。
何故、民間人相手に戦闘人形を派遣する必要がある?
小さな、疑問。
殺したり傷つけたりするわけにはいかない自国の民に対し、殺したり傷つけるのが目的に作られた最高峰の兵器を差し向ける矛盾。
その意図がわからない。
いや、今回に限らず――
このところよく感じる、もやもやとした気味の悪い感覚。
それが胸の中をじわじわと侵食していく。