DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



「騒がしいねえ」

ピタリと締め切ったカーテンを人差し指でほんの少しだけ隙間を作り覗いていた女。

恰幅のいい、その性別にしてはややがっちりとした身体に白衣を羽織ったその女が呟くと

「すみません。厄介なことになってしまいました。私が彼を連れてきたばかりに……」

まだ若い男の声が、申し訳なさそうに謝罪の言葉をこぼす。

「いやいや、あんたは悪くないよ牧師さん。あんたは間違っちゃいない。怪我人は医者のところに連れてくるもの、そして、医者は怪我人を診るもんだ」

「ガーフィールド先生……」

先生と呼ばれた女は、うなだれる牧師を振り返り豪快に笑って見せた。

「そうそう、あたしゃ医者先生なんだから。怪我人はうちの客。それがたとえ……」

そこで腕を組み、胸を張ってみせると

「敵さんの兵士でもね」

なんでもないことのように言い切って、牧師の背後にある白い布張りの衝立の向こうへと視線を投げる。



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