DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
女医の視線に促されるように牧師も衝立のほうへと顔を向ける。
その時、不意に部屋の扉が開いた。
「アンナ先生、包帯あったよ」
腕の小脇に小さな箱を抱えた少年が、ひょこひょこと、どこか不自然に片足を引き摺るような歩き方で廊下から入ってくる。
「ああ、ジノ。ありがとう」
「ううん。困ってる人がいるんだもの。僕も役に立てることあるならやらなくちゃ」
礼を言われた少年は当然とでも言うようにそう答えると牧師の方へくるりと向き直り
「ランスさん。あのおじちゃん大丈夫?」
心配そうな顔で訊ねた。
「そうだね……今、ジョセフさんが様子を……」
「大丈夫だよ」
牧師が少年に答えるより早く、衝立の向こうから声がして、白衣を着たひょろりとした男が姿を現した。