DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


「出血はもうだいぶん落ち着いたようだし、傷口からの熱はまだあるようだが、酷い怪我とはいっても命に差し障るほどのものじゃない……もっとも痛み止めが不足してるからね。しばらくはつらいだろうが……」

「そう。じゃあ、あんた。薬品庫からジノが包帯探し出してきてくれたから、とりあえず替えといて」

「はいはい」

出てきて口を開いた途端、アンナに包帯を押し付けられジョセフはすぐにまた衝立の奥へと引っ込んだ。

ガーフィールド診療所の医者はアンナであり、夫のジョセフは看護士。

体格の良いアンナと対照的にやせっぽっちのジョセフ。それはそのまま二人の力関係を現している。

けれどこの二人はこれでもう長いこと上手くいっているのだ。

それを良く知っているランスとジノは、いつもとかわらぬやり取りを見せる二人にホッと胸をなでおろす。

二人の様子が変わらないということは、あの怪我人の男は大事ないということだ。


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