DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
ずいぶん小さな頃に受けた古傷。それが原因でどこか神経でも痛めたのか……ジノの歩き方が不自然な理由を理解して、アレックスは無言で頷き自分もジノの隣に身を横たえる。
そのまま目を閉じようとしたが
「あのね」
再び小声でジノに呼びかけられた。
「ん?」
「アレックスさん、ルシフェル様探してるんだよね」
「ああ。だから明日は朝早くに皆と一緒にリディルに行く」
「そっかあ。ディラハンの兵士さんが言ってた人がルシフェル様だったら会えるかもだね」
「ああ……」
アレックスが同意すると、ホッとしたように小さく息を漏らして、ジノは再び口を開いた。
「あのね。もしも……もしも会えたらね。ここにも連れてきてくれないかな? ううん。無理だったらいいんだけどね……そしたら、伝言だけでも伝えてくれるかなあ……ありがとうって」
「ありがとう?」
「うん。あのね……僕さ、お父さんもお母さんもいないし、足もこんなでね、僕のこと可哀想って言う人もいるけどね、だけど……僕。今、とっても幸せなんだ」
ごそごそと仰向けになるよう体勢を整えながらジノは続ける。