DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



ミカエルに聞かれた事を思い出す。

どうするかは分からない。だが、どうするにせよ、会うという目的自体は揺ぎ無く明確に存在している。

会えば、自分は変わるのだろうか。

そしてルシフェルも……

眠る直前にジノが言った言葉が何度も頭の中を巡る。

ルシフェルが悲しくなくなるといい……そう願ったジノ。

自分はどう思っているのだろう。

未だはっきりとせぬ、自身の中の『感情』に思いを馳せながら――

なんにせよ、ジノの伝言は必ず伝えねばならない。

不思議と、それだけは自然に。アレックス自身も強くそう思うことが出来た。

すぐ隣にある熱源のせいか、普段以上に暖かい毛布の温度は心地よい眠気を呼ぶ。

抗うことなくそれに身を委ね、アレックスは意識を閉じる。



長い長い、カラヤの夜。



夜明けの足音はすぐそばまで近づいて来ようとしていた――



< 659 / 729 >

この作品をシェア

pagetop