DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>
「リディルとの連絡が途絶えました」
「それは……? リディルにはウリエルが行っているはずですが」
「そのウリエル自身とも通信がとれません」
普段表情を変えることのない翡翠の瞳が大きく見開かれ、言葉を紡いだ真紅の唇に向けられる。
守護天使は常に通常の隊とは別に専用の通信機を持っている。それは守護天使自身が身につけているので、それが通信不可になることはない。
何故ならそれが通じなくなるということは守護天使自身がダメージを受けたということになるからだ。
そしてそれはあり得ないこと。
現存するどんな兵器の攻撃にも傷つくことなく敵を圧倒する力こそが最強たる守護天使。
その証に守護天使が出た戦場で敗北を喫したことは一度もない。
それほどに超越した情報処理能力を、身体能力を持っている。付与されている。
だからこれまでも、行動を共にする隊と連絡が取れなくなるような事態に陥っても、守護天使との通信が取れなくなったことなどない。