我が名はリリス
「うるさい…さっきからおまえ、おまえって」

凛々子は、冷静にいいはなし、清二を見つめた。
清二は、ぶるぶるふるえ怒りだした。

「凛々子!てめーぃ」

凛々子の肩を強くつかみふりむかせて、なぐりかかった。


清二のこぶしは、凛々子の目の前で止まっている
凛々子は、冷淡に清二を見つめている。

しだいに清二は、ひたいに汗をかき始めた。

長い間時間が止まったように二人は、動かない。
「あなたは、まものとはいえないわね…」

凛々子は、冷たくささやいた。

「…」
清二は、硬直したまま
額からの汗は、あごへ下へ流れていく

「まものでなければ用はないの」

凛々子は、人差し指で額をつつくと、清二をそのままにして歩き始めた。
清二は、金縛りがとけたように、その場に座り込んだ。

凛々子は、振り返ることなくその場を去った。


心のなかで叫びながら


(あなた あなた

答えて
返事をして
今どこに…
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