bubble love
「お話とはなんでしょう?」
そこは、この姫が毎夜
唄を歌っていたバルコニーだった。
姫は、風と戯れる髪を抑えながら
「貴方、あの方をお慕いしているでしょう?」
と率直に言った。
ボクは、少しドキリとしてすぐに
「そんな恐れ多いこと、出来ません」
と淡々と言った。
「──…そう、私はあの方をお慕いしているわ。あの方は─…人魚なのでしょう?」
「どうしてそれを…!」
確信をもったその言葉に
ボクの心臓が飛び出しそうになった。
すると、姫はボクから視線を逸らせて
「ここのバルコニーから見ていたの。あの方の翡翠色の綺麗な瞳を…」
ボクは、俯いていた。