bubble love
ボクは、あの姫がバルコニーから出て行ったのを見計らってバルコニーに出た。
寒空だったけれど
潮風が気持ちよかった。
あの姫と王子は、ここからお互いを見つめ合っていたのだ。
そう思うと胸を締め付けられた。
その夜、王子と姫は同室にいて寝静まっていた。
真っ暗闇のなかを
ボクはタコに貰った短剣を握り締めて
2人を見下ろす。
海に浮かぶ黄色いモノだけが、
寝室を照らしていた。
ボクは、短剣を握る手を
ゆっくりと上へ上へと上げていく。
「誰だ」
王子の低い声が、室内に響く。