bubble love
ボクは、一瞬驚いたけれど
それさえも隠して
「……あなたは、陸などより海で暮らした方が幸せになるのです」
と低い声で淡々と言った。
王子は、「お前か…」と呟き
「それは、違う」
と手探りで姫を庇おうとした。
「俺は、この姫と出逢ってからこの上ない幸せを感じている」
「言葉も姿も見えないのに、ですか?」
ボクは、皮肉混じりにそう訊ねる。
「あぁ、そうだ」
王子は、真剣な声でそう答えた。
「そうですか…、そんなにその方が大切なのですか..」
ボクは、自嘲した笑いを口元に含みながら
振り上げていた手を
───…ドスッ、
姫の真横に突き刺した。