bubble love
その質問にボクも少し黙ってタコの言葉を思い出す。
「──…そうすると、王子にかけられた魔法は解けて元通りになる。ただし、王子の変わりにお前は消えてしまうだろう」
ボクは、瞳を伏せてから
「……はい、王様は大変怒っていらっしゃいますよ」
と言った。
「そうか……」
と、王子の声はくぐもる。
「父上…は、俺が消えてしまえばもっと怒るのだろうな。そのときは、お前が父上の傍にいてやってくれ」
───…王子、
それは無理な相談です。
「そんなことはさせません、ボクが貴方を守ります」
そんなボクの決意を王子は、
クスッと笑った。
「随分と勇ましい女人魚だな」
「ボクは───…」
とボクが何かをいいかけた時、
トントンと音がして
カチャッと扉が開いた。
「ご加減は、いかがかしら?」
それはそれは可愛らしい女だった。
ボクは、この女が
あの姫なのだと思った。