世界で一番好きなもの。【短】



―――--



そして結局、いつも通り。


花梨の作った、普段より少し豪華な夕飯に、お手製のケーキ。




ちなみに、ケーキは俺の理想そのもので、
サンタもトナカイも乗ったイチゴのチョコレートケーキ。
甘さも完璧だった。


…つくづく、花梨には敵わないと痛感した。










俺の好みに的確すぎるケーキを思い出してクスクス笑いながら、
俺の腕を枕に眠る彼女の頭をそっと撫でる。

その幸せそうな寝顔に俺の口元も自然と綻んだ。




そして、枕元からこっそり用意しておいたネックレスを取り出し、ばれないようにつけておく。


「……おまけ、な?」


その首筋を見てると押さえきれなくて、急遽おまけも追加。


チュ、という小さなリップ音と一緒に、その白い肌から顔を上げ、
散った赤を指でなぞる。





「…MerryChristmas,my sweet honey.」


サンタからのプレゼントに気づくのは明日の朝かな?




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